問題の真因に目を向ける、対処療法からの脱却
組織で起こる問題は濁った水槽に浮かぶ泡のように、泡を潰したところで次から次へと形を変えて課題は噴出し続けます。
なぜ、泡は消えないのか。
泡は単なる現象であって、課題の本質ではないからです。
これと同じ現象が組織でも起こっています。
例えば、「部下の仕事に仕方にばらつきがある」「成果が一貫していない」という現象に対して、「表面的な指摘やマニュアルの整備」などの現象に対するアプローチが一般的です。
これは泡を潰す取組です。この例の場合の本当の原因は「上司とのコミュニケーションや関係性に問題」があったり、そもそも上司が「部下を本気で育成していなかった」り、もっと深刻な問題となると、「部下に対し人として興味がなく、成果ばかりを求める」といったものまであります。
チームの成長段階が浅い組織の人材力発揮を阻害する真の要因は、コミュニケーション不足などの人的問題が大部分を占めている
そして決定的なことは、チームの成長段階と本当の原因には強い相関があるということです。この事実を無視して、日々、目先の対症療法に追われることが日常になっています。
これはアクションラーニングの問題解決セッションの何千もの事例を分析することで明らかになりました。
チームの成長段階が第1段階、第2段階の成長不全の状態では、現象は様々であってもその根本はBe(あり方)にあります。具体的には「ビジョンやミッションが曖昧なため個々のメンバーの動きに一貫性がない」「当事者意識が希薄なためにミスやトラブルが多発する」「安全な場や信頼関係が無いことで本音が言えず、ブレークスルーが起こらない」など例を挙げればきりがありません。
しかし、ほとんどの組織が成長不全にあるにも関わらず、BeではなくDoを重視した対症療法に専念しています。
Doとは「制度を刷新」「ルール変更」「新たなシステムや仕組みの導入」「マニュアルの整備」などこれまで取り組まれてきたことです。
これらのDoを重視した取り組みは表面的な現象に囚われ、本当の原因、真因を深掘りする取組と組織創りにしっかり取り組んでいないことから起こります。